選択制とは:「給与の一部を、掛金にまわすか選べる」仕組み
選択制の企業型DCとは、従業員が自分の給与(額面)の一部を「これまで通り給与として受け取るか、企業型DCの掛金にまわすか」を選択できる方式です。
ポイントは、掛金の原資が「もともと支払っている給与」であること。つまり、会社として新たな掛金負担が発生しません。「福利厚生を充実させたい。でもコストは抑えたい」という会社にとって、現実的な導入方法です。
掛金にまわす金額は従業員ごとに選べ、「まわさない(今まで通り全額給与で受け取る)」という選択も可能です。強制ではなく、一人ひとりが自分で決められるのが選択制の大原則です。
会社側のメリット
① 新たな掛金負担なしで、福利厚生がつくれる
会社拠出型と違い、会社が追加でお金を出す必要がありません。導入・運営にかかる費用(口座管理料など)だけで、「従業員の資産形成を支援する会社」という福利厚生を用意できます。
② 役員は、全額損金で退職金づくり
役員が拠出する掛金は、原則として全額を損金算入できます。役員1名の会社でも導入できるため、「まず社長の退職金準備から始める」という使い方も可能です。
③ 社会保険料等の適正化につながる場合がある
従業員が掛金にまわした分は、社会保険料等の算定基礎に含まれないため、本人・会社双方の社会保険料負担が適正化される場合があります。
従業員側のメリット
- 掛金にまわした分は給与課税の対象にならないため、手取りベースで効率よく積み立てられる
- 運用益は非課税。給与天引きなので「気づいたら貯まっている」積立習慣がつくれる
- 口座管理料は会社負担が一般的。個人でiDeCoをやるより有利になりやすい
注意点も正直に:デメリットを隠さず説明できるかがカギ
掛金にまわした分だけ社会保険料の算定基礎が下がるということは、将来の厚生年金の受給額や、傷病手当金・出産手当金などの給付額にも影響し得るということです。また、掛金は原則60歳まで引き出せません。メリットとデメリットの両方を理解したうえで、従業員一人ひとりが自分で選択することが何より重要です。
実は、選択制の導入がうまくいくかどうかは、この「デメリットまで含めた、わかりやすい説明ができるか」にかかっています。説明が不十分なまま導入すると、後から「聞いていなかった」というトラブルの種になりかねません。
導入を成功させるポイントは「説明会」
当法人が導入支援で最も力を入れているのが、従業員向けの社員説明会と個別面談です。専門用語を使わずに制度を説明し、一人ひとりの状況に合わせて「自分はいくら掛金にまわすのが合理的か」を一緒に考えます。
丁寧な金融教育は加入率に直結します。制度は「導入して終わり」ではなく、従業員に理解され、活用されてこそ価値がある——これが私たちの考え方です。
まとめ
- 選択制は給与の一部を掛金にまわすか従業員が選べる方式。会社の新たな掛金負担なし
- 役員は全額損金で退職金づくりが可能。役員1名から導入できる
- 社会保険料等の適正化につながる場合がある一方、将来の給付への影響も説明が必要
- 成否を分けるのは説明会の質。デメリットまで正直に伝えられる体制が重要